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綾部市物部地区在住


by ayabemorinaga

日本の鐘は日本の仏教が生み出したものといわれているが、この鐘を鳴らすと、あっちへいこう、つまりあの世へいこうというようになるといわれる。英語で言えばgonegoneとなる。これは鐘の音のゴ-ーンと英語のgoneを引っ掛けたものだそうです。これに対してヨ-ロッパの鐘の音はキリスト教が生み出したもので、こっちへ来い、つまりカ-ン、カ-ン、カ‐ムcomeとなり、現世に歩み寄ってきなさいというふうに聞こえるという話です。音ということについて、フランスのロラン・バルトという思想家がこのように言っております。それは、中世は聴覚の時代であった。それに対してわれわれが生きている現代は視覚の時代である。中世の人々は神とか仏の存在を目で見ようとせずに、耳で聞き心で感じようとした。しかし、現代は見えるものだけが存在し、見えないものは存在しないという考え方が出てきた。聴覚によって神秘的なものを感じとる能力の開発のために鐘、チャペルが造られて来たのでしょう。もし皆さん方が視覚か聴覚のいずれか一方を選ばなければならないとしたら、どちらを選ばれるでしょうか。高校生にこの質問をしてみると、二割ぐらいは聴覚を選ぶ人がいるそうです。若い学生諸君の中に耳を選ぶ人間、すなわち神のそば近くありたいと思っている人が二割もいることに感動を覚え同時に勇気付けられる思いがする。私は視覚を選ぶおろかな人間です。
by ayabemorinaga | 2009-06-19 16:22 | その他