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綾部市物部地区在住


by ayabemorinaga

回想(失敗)

気の遠くなるような昔のことですが、私は学生時大徳寺塔頭聚光院に下宿をしていました。毎朝ぞうきんで長い廊下を拭き掃除をしました。寒い冬の朝など拭いたあとにうっすら氷ができた事も何度かありました。四年間毎朝続けましたから、今でも拭き掃除にはさほど抵抗なくやることが出来ます。三年間は本堂の隅におりましたが、最後の一年間は、玄関脇の部屋に住むことになりました。結構観光客があり、もっぱら案内役を買って出てやりました。見所と言えば、利休切腹の茶室があり、庭には沙羅双樹の木があり、本堂のふすま絵は、狩野永徳の琴棋書画の図といわれるふすまと、元信が書いたと言われる三匹の猿のふすま繪がありました。そして、三千家の墓があります。あるとき、大学生が数十名拝観にやってきました。茶室、ふすま繪、等の案内を終えて、利休の墓に案内しました。そこには、表千家、裏千家、菅休庵の先祖代々の墓があります。利休の墓は石碑が真ん中あたりで四角にくりぬいてあり、その中に頭を入れてみると、松風の音、即ち湯がシュンシュンと沸く音がすると言われていますといいますと、見るからにおっっちよこちょいの学生の一人が私が確かめてみるといって、四角い穴に頭を入れるまでは、よかったのですがいざ頭を抜こうとすると抜けなくなりました。学生は慌てるわ、私はびっくりするわ、こりゃーどうしても抜けなければ、石碑をわらないとしかたがないな。そんなことになれば、とんでもない損害になるな-そんなときにも学生は必至なって抜こうとするが、耳が邪魔になって抜けない。周りの生徒はおもしろがって、わあわあ冷やかすわ、まあー最後は何とかやっとの事で抜けたのですが、そんな大失敗をしたことがありました。物事は何につけても慎重に言ったり行ったりしなければならないという経験をしました。しかし、その様な経験も私の長い人生の中では生かし切れませんでしたね。
by ayabemorinaga | 2011-09-14 14:09 | その他