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綾部市物部地区在住


by ayabemorinaga

人事闘争(ブログ小説)

平成3年4月1日舞東高校副校長から原石高校校長昇任した赤目坂俊太郎は府教委での辞令交付式を終えて校長室の椅子にどっかりと腰を据えて一息ついたとき,卓上の電話が鳴った。電話を取ると西教育長からであった[校長になった気分はいかがですか]赤目坂はなぜ原石高校の校長になったのか。正直ちょっと戸惑いがあった。原石高校は工業科単独校である。学校経営は,指導教科と関係はない,校長は教員を辞任して行政官になったのである。府教委の方針を忠実に実行する立場である。赤目坂は、そういったことを理解するには,しばらく時間がかかった。西教育長からの電話に、【すこし緊張しています】と応えるのが,やっとであった。西教育長からは【宜しくお願いします】といって電話は切れた 前任校長管氏からの事務引き継ぎは一切無かった。はて何から手をつけようかと考えながら,机の引き出しを開けると,管氏のメモが出てきた。メモには,学校の課題等必要な事項は机の引き出の書類を、適時ご覧くださいと書かれていた。机の中には,一保堂茶舗の缶があり,適時おのみくださいという管氏の走り書き添えられていた。なるほど、これで納得がいった。事務室からお茶が運ばれてこない理由が、それにしても権利意識がつよいな。事務職員にお茶くみなどさせるなと言う事か。湯沸かしポット・急須が窓辺の棚に置かれている。赤目坂は,事務室から茶碗を借りてきて,お茶を入れようとしていると、坪副校長が顔出した。坪副校長は江坂高校からの横滑りである。赤目坂は、副校長会であまり声を掛けたことは無かったがすでに顔見知りである。
by ayabemorinaga | 2016-12-02 11:30